100 Greatest Ever Albums I've Heard (90~86)

その作品がいかに優れているか、またいかに好んでいるか。今回の選出において、それらは尺度足り得ない。 今現在の自分の中にある“音楽”を形成するために多大なインパクトを与えた―つまり爪痕を残し、記憶に刻み込まれ、そして新たな扉を開いた作品たちを100枚選びぬいた。

自分にとっての偉大な作品100選、アルバム編。

選出方法は至ってシンプルだ。まずは上述したコンセプトに適している作品を、主観で100枚以上選出した。次にプログラムを作成し1枚ずつ比較し、客観的にランク付けを行った。

紹介を始める前に、一点。 洋楽邦楽問わず思うままに選出したが、自分に与えた影響が大きいランキングというコンセプトの性質上、邦楽の作品が比較的ランキング上位に多くなってしまった。 その理由として両親が洋楽を聴く人間ではないというところも大きいが、なにより洋楽を聞き始めた理由はその時に聞いていた邦楽のルーツを辿っていった結果行き着いたからである。あらゆる音楽への門戸は日本の作品であったため、洋楽と比較したときにその影響度が大きくなってしまうことは避けられない。 このことを頭の片隅に置いておいてほしい (上位は邦楽ばっかりじゃねぇか、と思うかもしれないがご容赦)。

前の順位はこちら tosshie.hateblo.jp

90. Crescent

日本のロックアーティストGacktが2003年12月に発表した4作目。MALICE MIZERより先にGACKTのソロ作品を聴いたタイプの人間だが、そんな中でひときわ心に残ったのがこのアルバム。個人的にバラエティ豊かな作品よりも、コンセプトアルバムのように一本筋の通った作品が好みであるというところも大きいが、そういう意味で前作『MOON』と今作は印象が強かった。冒頭の「Dybbuk」~「mind forest」という最高の幕開けからぐっと惹き込まれ、そのままシリアスパートが続いてからのスピード感ある「white eyes」。自分にとってはここがハイライト。やっぱり日本のロックもかっこいいじゃんと再認識させてくれた大事な作品のひとつ。あと、散々他で言われまくってるだろうからあえて言及はしないが、ラストの「オレンジの太陽」も大事な曲。

89. Prince of Paupers

スウェーデンのハードロックバンドGrand Illusionが2011年10月にリリースした5作目。メロディック・ハード/AOR好きならもはや常識レベルの大名盤。たしか一通りヘヴィメタルサブジャンルを漁り終わって、その反動かハードロックをよく聴き直していた頃にこのアルバムを手にした。1曲目からキラキラした明るさの中にも切なさを潜ませた、心の涙腺を緩ませるサウンド。そして2曲目「Better Believe It」にして一気に最高潮へ。往年の、と言ってももちろん当時をリアルタイムで味わった訳ではないが、70年代~80年代にかけてのプログレハードや産業ロックと呼ばれる名曲と同じ匂いを感じた。大衆受けするポップセンスはもちろんなのだが、ロックバンドとしてエッジの立った攻めたサウンドを見せる曲もあるので、飽きさせずに幅の広さを見せつける展開に夢中になった。YouTubeApple Storeにないので、動画やリンクを貼れないのが非常に口惜しい。

88. Headless Cross

イギリスのヘヴィメタルバンドBlack Sabbathが1989年4月にリリースした14作目。最初に、自分が少数派であることは自覚していることを明言しておく。その上で、Black Sabbathのカタログの中でトニー・マーティンが在籍していた頃の作品、つまり『The Eternal Idol』『Headless Cross』『Tyr』の頃が一番好きだ。さらに一段下げると『Seventh Star』も好きだ。もちろん“Black Sabbathのアルバム”として聴けば『Black Sabbath』とか『Paranoid』の頃こそが至高であることは解っているし、もちろん好きだ。でもバンド名というラベルを取り外し、純粋に音の好みだけで言えば上記のとおりである。初期から順当に作品を聴いていったが、トニー・マーティン期の作品を聴いて大きな衝撃を受けた。暗く重厚感あるサウンドと豊かなメロディの調和、なんて美しいのだろう。当時は無名だったらしいが、トニー・マーティンの歌唱がそのサウンドに見事にハマっているのもとても良い。そしてこれもApple Storeに何故ないのだろう。動画はYouTubeにあるのでぜひ聴いてほしい(非公式なのでここには貼らないが)。

87. The Jester Race

スウェーデンデスメタルバンドIn Flamesが1996年2月に発表した2作目。メロデスに手を出すにあたって、極最初期に聴いた作品の一つ。どんな激烈なインパクトを受けるのだろうかと思いながら再生ボタンを押したはいいが、最初に始まったのがメロウな雰囲気の曲だったので逆方向で衝撃を受けた。テンポもあまり速くなく、事前に期待していたような音ではなかったがメロディの美しさにそんなことはどうでもよくなった。あとの続く曲の中にはもちろんいかにもメロデスというようなエクストリームな曲もあるが、そこでもやはりメロディの嵐。そうかこれがメロディック・デスメタルという音楽なのだ、と分からせられた作品。はっきり言って全曲最高だが、なんだかんだやはり「Artifacts of the Black Rain」と「December Flower」という最凶の2枚看板には何度聴いても骨の髄まで痺れされられる。

86. Apocalyptica

フィンランドのチェロメタルバンドApocalypticaが2005年にリリースした5作目。最初にデビュー作『Plays Metallica by Four Cellos』とこのアルバムを手にしたが、古い方から聴けばいいものを何を思ったのか先にセルフタイトルのこちらを聴いた。流れてきたのは3本のチェロとドラムからなるサウンドで、ここまでガッツリしたメタルサウンドを奏でられるものなのかと驚愕したのを今でも覚えている。先に情報を入れていなければチェロとドラム"しか"ないとは思わなかっただろう。せいぜいチェロが取り入れられたメタル、と思う程度で。ゲストヴォーカルを招いた曲が2曲含まれているが、それ以外はチェロが歌っている。3本のチェロはそれぞれベース、リズム、リードという風に役割が決められているので、普通のバンドサウンドインストゥルメンタルとして違和感なく耳に入ってくる。これはシンフォニック・メタルと呼ぶべきなのか、はたまたネオクラシカルメタルと呼ぶべきなのか、判断が難しいのでチェロメタルと呼ぶ他ないだろう。

Apocalyptica

Apocalyptica

  • アポカリプティカ
  • ハードロック
  • ¥1681