100 Greatest Ever Albums I've Heard (80~76)

その作品がいかに優れているか、またいかに好んでいるか。今回の選出において、それらは尺度足り得ない。 今現在の自分の中にある“音楽”を形成するために多大なインパクトを与えた―つまり爪痕を残し、記憶に刻み込まれ、そして新たな扉を開いた作品たちを100枚選びぬいた。

自分にとっての偉大な作品100選、アルバム編。

選出方法は至ってシンプルだ。まずは上述したコンセプトに適している作品を、主観で100枚以上選出した。次にプログラムを作成し1枚ずつ比較し、客観的にランク付けを行った。

紹介を始める前に、一点。 洋楽邦楽問わず思うままに選出したが、自分に与えた影響が大きいランキングというコンセプトの性質上、邦楽の作品が比較的ランキング上位に多くなってしまった。 その理由として両親が洋楽を聴く人間ではないというところも大きいが、なにより洋楽を聞き始めた理由はその時に聞いていた邦楽のルーツを辿っていった結果行き着いたからである。あらゆる音楽への門戸は日本の作品であったため、洋楽と比較したときにその影響度が大きくなってしまうことは避けられない。 このことを頭の片隅に置いておいてほしい (上位は邦楽ばっかりじゃねぇか、と思うかもしれないがご容赦)。

前の順位はこちら tosshie.hateblo.jp

80. カレリア

日本の歌手・工藤静香が1989年10月にリリースした4作目。プログレバンドがやってもおかしくないようなコンセプトアルバムで、いわゆるアイドルが、しかも全盛期にこのような作品を作ったという事実にまず衝撃。普段はロック寄りの楽曲が多い中で、このアルバムはストリングス多めのクラシックな雰囲気というのも新鮮。カレリアという舞台にふさわしく、フィンランドレコーディングである上にヘルシンキ管弦楽団と地元のコーラス隊を起用という本格具合。たしかに"アイドルの作品"として見るのであればこのアルバムには求めるものはないのかもしれないが、一人の女性アーティストの作品として非常に完成度が高いと思う。個人的には「美粧の森」と「la se n」がお気に入り。

79. Wrath and Rapture

アメリカ産プログレッシヴ・デスコアバンドWrath and Raptureが2010年2月にリリースしたデビュー作。プログレッシブだしデスコアなんだけど、それだけでは表現する言葉が足りない。ブラックメタル的要素もあるし、シンフォニック要素もあるし、メロスピ的キラキラ展開ももりだくさん。やりたいこと、取り入れたいものを自由に採用しているのが伝わってきて、ここまで自由なものもアリなんだなと思い知った一枚。まだ今ほどバリエーションを知らなかった頃にはたいへん驚いた記憶がある。30分にも満たないコンパクトさに加えてこのトリッキーな構成、目まぐるしく移り変わる展開に、飽きるなんてありえない。

78. Wind & Wuthering

イギリスのプログレッシブロックバンドGenesisが1976年12月にリリースした8枚目のアルバム。名盤が数多くあるGenesisのキャリアの中で、個人的に一番気に入ったのがこれだ。まずPhil Collinsの優しく美しい歌声ももちろんだが、幻想的で情緒的なサウンドに終始癒される。バカテクも好きだけどこういった雰囲気のある作品のほうが(強いて言えば)好きかもしれないなと再認識させられた作品。80年代に聞くことができるポップさもすでに顔をのぞかせていながら、シアトリカルとまではいかないものの従来のGenesisらしさを感じる面もある。これを過渡期というべきか、黄金時代の終焉ととるか。どちらにしても俺は大好きな一枚だ。

77. 無罪モラトリアム

日本のシンガーソングライター椎名林檎が1999年2月にリリースした初のアルバム。聞く前は実験的な側面の強そうな女性ロックシンガーなのだろうと思っていたけれど、最初にこのアルバムを聞いた時は意外とストレートなサウンドなんだなと感じた。歌い方も細く可愛らしいところから、骨太サウンドにマッチする力強いところまで幅広く魅せてくれる。個人的にはいかにもこれから始まりますというようなオープニングが好きだけれど、それでもこのアルバムはこの始まり方が最適というか「正しい街」「歌舞伎町の女王」「丸の内サディスティック」の流れを聞くとこれ以外はありえないとなってしまう。これはシンプルに好み云々とは別の方向から殴られて黙らされた感覚。

76. De Mysteriis Dom Sathanas

ノルウェーブラックメタルバンドMayhemが1994年5月にリリースした初のアルバム。ブラックメタルとはなんぞやというタイミングで、絶対的に高い評価を受けているこのアルバムを聴いた。リリースまでにメンバーが二人亡くなっているという前情報から曰く付きのとんでもない作品なんだなと感じていたが、初めて聴いた身にとっては中身もとんでもなかった。とはいえ拒否感拒絶感を抱かなかったのはサバスやヴェノムを先に聴いていたからで、その系譜にあるのだなと冷静に聞くことができた。今でもなにかむしゃくしゃした気持ちになったときに聞くとスッキリできる。ありがたい。

De Mysteriis Dom Sathanas

De Mysteriis Dom Sathanas

  • Mayhem
  • メタル
  • ¥1224