100 Greatest Ever Albums I've Heard (65~61)

その作品がいかに優れているか、またいかに好んでいるか。今回の選出において、それらは尺度足り得ない。 今現在の自分の中にある“音楽”を形成するために多大なインパクトを与えた―つまり爪痕を残し、記憶に刻み込まれ、そして新たな扉を開いた作品たちを100枚選びぬいた。

自分にとっての偉大な作品100選、アルバム編。

選出方法は至ってシンプルだ。まずは上述したコンセプトに適している作品を、主観で100枚以上選出した。次にプログラムを作成し1枚ずつ比較し、客観的にランク付けを行った。

紹介を始める前に、一点。 洋楽邦楽問わず思うままに選出したが、自分に与えた影響が大きいランキングというコンセプトの性質上、邦楽の作品が比較的ランキング上位に多くなってしまった。 その理由として両親が洋楽を聴く人間ではないというところも大きいが、なにより洋楽を聞き始めた理由はその時に聞いていた邦楽のルーツを辿っていった結果行き着いたからである。あらゆる音楽への門戸は日本の作品であったため、洋楽と比較したときにその影響度が大きくなってしまうことは避けられない。 このことを頭の片隅に置いておいてほしい (上位は邦楽ばっかりじゃねぇか、と思うかもしれないがご容赦)。

前の順位はこちら tosshie.hateblo.jp

65. Beyond the Space, Beyond the Time

ポーランドのシンフォニック・パワーメタルバンドPathfinderが2010年4月にリリースした初のアルバム。とんでもないという前評判のまま高い期待を抱いて聴いたところ、期待通りの凄まじいアルバムで驚愕したのを今でも覚えている。確かにサウンドはRhapsodyとかBlind Guardianとか、あとは速いのでDragonForceとかSonata Arcticaを思わせるしとにかくおいしいところがいっぱい。特にベートーヴェンの月光のフレーズから始まる「Pathway to the Moon」からフックのあるコーラス部分が印象的な「All the Mornings of the World」の流れは白眉。やはりこの手のジャンルはやりすぎなくらいがちょうどいい。お腹いっぱい。

Beyond the Space, Beyond the Time

Beyond the Space, Beyond the Time

  • Pathfinder
  • ロック
  • ¥1833

64. "9"

日本のヴィジュアル系ロックバンドアリス九號.が2012年2月にリリースした5枚目のアルバム。外部のプロデューサーを招き新しい扉を開いた前作『GEMINI』の流れを汲み、彼ららしい王道ポップ・ロックとより洗練されたハードなサウンドがみるみる繰り広げられる。宗教的な雰囲気すら感じる大仰で開放的なオープニング「Heavenly Tale」から、初めてのメロスピへの挑戦となる「the Arc」、そしてよりヘヴィネスを強めた「GALLOWS」へと続く流れを聞いて、自分たちのバンド名にもある「9」の数字を冠した自信を伺いしれた。壮大さとノリのよさを兼ね備えた大団円「すべてへ」までギュッと凝縮したAlice Nineワールドに浸れる。

"9" (通常盤)

  • Alice Nine
  • J-Pop
  • ¥2139

63. Father's Son

日本のシンガーソングライター浜田省吾が1988年3月にリリースした11作目。社会的なメッセージの強い重い曲があるという印象が先行するが意外とラブソングが多いのも魅力ポイント。「BLOOD LINE」の最初の音を聞いたときから、そのキレッキレのエレキサウンドに骨の髄まで痺れた。個人的には「MONEY」以上。『DOWN BY THE MAINSTREET』『J.BOY』を経て等身大の大人な歌詞が増えているのも、この年になって聴くことによりより一層身近に感じられるようになってきた。30代なかば、円熟とまではいかないものの色々なものに揉まれた大人の色気と渋みが感じられる。

62. Asia

イギリスのロックバンドAsiaが1982年3月にリリースしたデビューアルバム。デビューとはいえ既に別のバンドで一時代を築いたスーパーメンバーが集結しているので、安定感と貫禄を感じられる。先に本家のバンドの作品を聴いていたので、このアルバムを聴いたときの衝撃はかなり大きかった。もちろん事前に話には聞いていたが、ここまでプログレの色を抑え込んでいるとは。そしてポップに振り切れてもこれほどキャッチーな作品を生み出せるとは。目を閉じて美しいコーラスワークとハイテクニックな演奏に浸ると、幻想的な世界にトリップできる。

Asia

Asia

  • エイジア
  • ロック
  • ¥1731

61. BELOVED

日本のロックバンドGLAYが1996年11月にリリースした4作目。古いアルバムから順番に聴き進めて、もちろんどれもいいアルバムではあるのだけれどこのアルバムを聴いたときに開放的な印象を鮮明に受けたことを覚えている。『BEAT out!』を聴いたときの衝撃も相当だったが、よりドラマティックで心が震わされたのはこちら。「春を愛する人」~「カーテンコール」の流れはハイライト。終盤に位置するこの部分は美しく切なさのあるパートだが、それでもこのアルバムの全体的な印象が明るいのはなんといってもトリを飾る「RHAPSODY」が明るくノリがよいからだろう。何年経って何度聞き返しても色褪せないってこのことなんだろうな。

Beloved

Beloved

100 Greatest Ever Albums I've Heard (70~66)

その作品がいかに優れているか、またいかに好んでいるか。今回の選出において、それらは尺度足り得ない。 今現在の自分の中にある“音楽”を形成するために多大なインパクトを与えた―つまり爪痕を残し、記憶に刻み込まれ、そして新たな扉を開いた作品たちを100枚選びぬいた。

自分にとっての偉大な作品100選、アルバム編。

選出方法は至ってシンプルだ。まずは上述したコンセプトに適している作品を、主観で100枚以上選出した。次にプログラムを作成し1枚ずつ比較し、客観的にランク付けを行った。

紹介を始める前に、一点。 洋楽邦楽問わず思うままに選出したが、自分に与えた影響が大きいランキングというコンセプトの性質上、邦楽の作品が比較的ランキング上位に多くなってしまった。 その理由として両親が洋楽を聴く人間ではないというところも大きいが、なにより洋楽を聞き始めた理由はその時に聞いていた邦楽のルーツを辿っていった結果行き着いたからである。あらゆる音楽への門戸は日本の作品であったため、洋楽と比較したときにその影響度が大きくなってしまうことは避けられない。 このことを頭の片隅に置いておいてほしい (上位は邦楽ばっかりじゃねぇか、と思うかもしれないがご容赦)。

前の順位はこちら tosshie.hateblo.jp

70. New Obscurantis Order

フランスのシンフォニックブラックメタルバンドAnorexia Nervosaが2001年11月にリリースした3枚目のアルバム。シンフォニックでかつ残虐性も兼ね備えたサウンドはEmperor系統。だから俺にこんなに刺さるんだ。ただただ圧倒されるばかりで、気がつくと聞き入って40分ちょっとが過ぎ去ってしまう。そんなモンスターアルバム。まさに化け物。6曲目までひたすら駆け抜けた後にピアノソロ曲を挟むが、このピアノ曲が最後のステップに踏み出すための充電ポイント、嵐の前の静けさ。最後に再び暴虐の限りを尽くす。

New Obscurantis Order

New Obscurantis Order

  • Anorexia Nervosa
  • ロック
  • ¥1069

69. The Black Parade

アメリカのオルタナティブロックバンドMy Chemical Romanceが2006年12月にリリースした3作目。最初はシンプルに名作とされているから聞いたのだが、1曲目から心を掴んで離さないメロディセンスとシリアスなサウンドにすっかり虜になった。そして5曲目に到達したときにようやく、「ああ、この曲はこのバンドのやつなんだ」と気づいた。この曲のインパクトは相当のものだが、それでもなぜかこれだけではなくアルバムを通して聞きたくなる。ざっくり言ってしまえば「死」をテーマにした作品であり、その重いテーマに相応しく最初から最後までまったく気を抜いた曲がない。もともとコンセプトアルバムが好きというのもあるが、そこに加えてこの耳残りの良さである。ロックオペラ万歳。

68. Hysteria

イギリスのロックバンドDef Leppardが1987年8月にリリースした4枚目のアルバム。1作目から順当に聴いていくと正直どんどん期待していた方向からはズレていくのだが、ただ逆にポップメタルのアルバムとして聴くとこれ以上の作品を他に探すのに苦労するほどの作品。捨て曲と言うか間を埋める曲が全くなく、本人たちももしそういうつもりがあったら(結果論としてヒット曲になった)力強い曲を前半に固めるような構成にはしないはず。最初に聴いた時は、間違いなく初めて聴いたはずなのにどこかで聴いたことあるようだと勘違いさせるほどのメロディセンスにただただスゲーと感心しながら聴いていた。

Hysteria

Hysteria

67. Ride the Lightning

アメリカのスラッシュメタルバンドMetallica1984年7月にリリースした2枚目のアルバム。静かに始まって一気に激しさに振り切れる「Fight Fire With Fire」に心を奪われた。再生ボタンを押した直後に。スラッシュメタルにはあまり似つかわしくない言葉だが、なんと美しいことかと息を飲んだ。その後も激しい曲だけでなく「Fade to Black」のような長尺めで緩急の付いた曲もあり、このアルバムを聞き終えた瞬間に自分の中のメタリカの印象が決定づけられた。といってもこのとき植え付けられたイメージはそう長く続かなかったのだが。

66. The Path of Apotheosis

アメリカのテクニカルデスメタルバンドInferiが2014年1月にリリースした3作目。今回こうして取り上げる作品の中では割と新しめ(といっても何年前)で、当時すでにある程度いろいろなメタルを聞いていた自分にとってもかなり新鮮で衝撃的だった一枚。テクニカルな要素だけではなく、時々崇高な美しさを感じさせるようなフレーズも覗かせるメロディアスかつプログレッシヴな側面を併せ持ち、とはいえ一本通った筋は暴虐そのもの。聴いていると脳みそが蹂躙される。悲しいこと?嫌なこと?辛いこと?そんなものはすべてこのアルバムがズタズタ木っ端微塵にしてくれる。

100 Greatest Ever Albums I've Heard (75~71)

その作品がいかに優れているか、またいかに好んでいるか。今回の選出において、それらは尺度足り得ない。 今現在の自分の中にある“音楽”を形成するために多大なインパクトを与えた―つまり爪痕を残し、記憶に刻み込まれ、そして新たな扉を開いた作品たちを100枚選びぬいた。

自分にとっての偉大な作品100選、アルバム編。

選出方法は至ってシンプルだ。まずは上述したコンセプトに適している作品を、主観で100枚以上選出した。次にプログラムを作成し1枚ずつ比較し、客観的にランク付けを行った。

紹介を始める前に、一点。 洋楽邦楽問わず思うままに選出したが、自分に与えた影響が大きいランキングというコンセプトの性質上、邦楽の作品が比較的ランキング上位に多くなってしまった。 その理由として両親が洋楽を聴く人間ではないというところも大きいが、なにより洋楽を聞き始めた理由はその時に聞いていた邦楽のルーツを辿っていった結果行き着いたからである。あらゆる音楽への門戸は日本の作品であったため、洋楽と比較したときにその影響度が大きくなってしまうことは避けられない。 このことを頭の片隅に置いておいてほしい (上位は邦楽ばっかりじゃねぇか、と思うかもしれないがご容赦)。

前の順位はこちら tosshie.hateblo.jp

75. Yeah! Yeah! Die! Die! Death Metal Symphony in Deep C

フィンランドアヴァンギャルドメタルバンドWaltariが1996年に5月にリリースした4枚目のアルバム。作品ごとに様々な音楽性に移り変わる中で、このアルバムはシンフォニックデスメタル。とはいえそれ以外にもラップやインダストリアルな要素が取り入れられていて、そういった意味でも破天荒。(CDだと)1トラック56分弱にも及ぶ全8楽章という大作で、デスメタルをシンフォニックアレンジしたというよりはシンフォニックメタルにデスメタルを足したというような印象。時が経ってから聴いても色褪せない作品というのは数多くあれど、いつ聴いても新鮮な気持ちで聞けるというのはなかなか珍しい。

74. Lean Into It

アメリカのハードロックバンドMr. Bigが1991年4月にリリースした2作目。学生時代、彼らの熱狂的なファンだった友人がおり、彼からCDを借りて聴いたのが最初。まだまだ探索途中だったということもあり、電動ドリルで演奏する曲があることもその時に初めて知った。もちろん先に1作目を借りていたので、そちらよりもより大衆性が増した曲もありこれは売れるべくして売れたのだなと納得。ただ個人的にバラードは大好きだがアコースティックバラードはそこまででもないので、「To Be With You」はそれほど刺さらなかった。

Lean Into It (Expanded Edition)

Lean Into It (Expanded Edition)

  • Mr. Big
  • ハードロック
  • ¥1528

73. Heartwork

イギリスのエクストリーム・メタルバンドCarcassが1993年10月に発表した4枚目のアルバム。初期のグラインドコアから徐々にデスメタルへと変化し、今作でメロディックデスメタルへと到達。とはいえ順番に聴いたわけではなく、むしろここから聞き始めて逆行していったのでそれはそれで面白い変化だった。代表的なメロデスアルバムと評されるのも大納得で、最初から最後まで全部がかっこよくそして美しい。とりわけタイトル曲は全身に鳥肌が立つほど。これが初めて聴いたメロデスだったら間違いなくもっと上の順位にしていただろう。自分の中でメロデスといえばこれ、と挙げるうちに確実に食い込んでくる1枚。

Heartwork

Heartwork

  • Carcass
  • メタル
  • ¥1375

72. Radiance of Shadows

カナダのドローンドゥームバンドNadjaが2007年10月にリリースした8作目。凄まじいほどの衝撃に見舞われるサウンドで、このアルバムのレビューを見るとよく原子爆弾に例えられるのも納得できる。そもそも1曲目「Now I Am Become Death the Destroyer of Worlds」のタイトルが原爆の父として知られるオッペンハイマーの発言の引用であるところが大きいが、タイトル曲の歌詞も明確ではないものの原爆について歌っているように読めるというのもあるかもしれない。ドゥームメタルの音には慣れ始めていた頃に聴いたが、その辺のドゥームとは一線を画す音像にただただ打ちひしがれた。紛れもない大傑作。

Radiance of Shadows

Radiance of Shadows

  • Nadja
  • メタル
  • ¥1528

71. マグニャカルタ

ヴィジュアル系ロックバンドアンティック-珈琲店-が2006年11月にリリースした2枚目のフルアルバム。やはり2006年前後というのはネオ・ヴィジュアル系の一つの黄金期であり、彼らも癖が強いタイプなので万人受けするわけではないがその黄金期を支えている作品のうちの一つがこれであることは間違いない。ライヴでよく演奏される曲を収録しているなどバンドにとっても重要な一枚で、ポップかつメロディの豊かな曲が多くて耳残りがいいなというのが第一感想。特に「スノーシーン」はサウンドこそロックであるものの、持ち前のメロディアスさに加えて要所要所で切なさを感じさせるポイントがぐっと胸を掴んで離さない名曲 (オフィシャルでPVがあれば貼ったのに)。

100 Greatest Ever Albums I've Heard (80~76)

その作品がいかに優れているか、またいかに好んでいるか。今回の選出において、それらは尺度足り得ない。 今現在の自分の中にある“音楽”を形成するために多大なインパクトを与えた―つまり爪痕を残し、記憶に刻み込まれ、そして新たな扉を開いた作品たちを100枚選びぬいた。

自分にとっての偉大な作品100選、アルバム編。

選出方法は至ってシンプルだ。まずは上述したコンセプトに適している作品を、主観で100枚以上選出した。次にプログラムを作成し1枚ずつ比較し、客観的にランク付けを行った。

紹介を始める前に、一点。 洋楽邦楽問わず思うままに選出したが、自分に与えた影響が大きいランキングというコンセプトの性質上、邦楽の作品が比較的ランキング上位に多くなってしまった。 その理由として両親が洋楽を聴く人間ではないというところも大きいが、なにより洋楽を聞き始めた理由はその時に聞いていた邦楽のルーツを辿っていった結果行き着いたからである。あらゆる音楽への門戸は日本の作品であったため、洋楽と比較したときにその影響度が大きくなってしまうことは避けられない。 このことを頭の片隅に置いておいてほしい (上位は邦楽ばっかりじゃねぇか、と思うかもしれないがご容赦)。

前の順位はこちら tosshie.hateblo.jp

80. カレリア

日本の歌手・工藤静香が1989年10月にリリースした4作目。プログレバンドがやってもおかしくないようなコンセプトアルバムで、いわゆるアイドルが、しかも全盛期にこのような作品を作ったという事実にまず衝撃。普段はロック寄りの楽曲が多い中で、このアルバムはストリングス多めのクラシックな雰囲気というのも新鮮。カレリアという舞台にふさわしく、フィンランドレコーディングである上にヘルシンキ管弦楽団と地元のコーラス隊を起用という本格具合。たしかに"アイドルの作品"として見るのであればこのアルバムには求めるものはないのかもしれないが、一人の女性アーティストの作品として非常に完成度が高いと思う。個人的には「美粧の森」と「la se n」がお気に入り。

79. Wrath and Rapture

アメリカ産プログレッシヴ・デスコアバンドWrath and Raptureが2010年2月にリリースしたデビュー作。プログレッシブだしデスコアなんだけど、それだけでは表現する言葉が足りない。ブラックメタル的要素もあるし、シンフォニック要素もあるし、メロスピ的キラキラ展開ももりだくさん。やりたいこと、取り入れたいものを自由に採用しているのが伝わってきて、ここまで自由なものもアリなんだなと思い知った一枚。まだ今ほどバリエーションを知らなかった頃にはたいへん驚いた記憶がある。30分にも満たないコンパクトさに加えてこのトリッキーな構成、目まぐるしく移り変わる展開に、飽きるなんてありえない。

78. Wind & Wuthering

イギリスのプログレッシブロックバンドGenesisが1976年12月にリリースした8枚目のアルバム。名盤が数多くあるGenesisのキャリアの中で、個人的に一番気に入ったのがこれだ。まずPhil Collinsの優しく美しい歌声ももちろんだが、幻想的で情緒的なサウンドに終始癒される。バカテクも好きだけどこういった雰囲気のある作品のほうが(強いて言えば)好きかもしれないなと再認識させられた作品。80年代に聞くことができるポップさもすでに顔をのぞかせていながら、シアトリカルとまではいかないものの従来のGenesisらしさを感じる面もある。これを過渡期というべきか、黄金時代の終焉ととるか。どちらにしても俺は大好きな一枚だ。

77. 無罪モラトリアム

日本のシンガーソングライター椎名林檎が1999年2月にリリースした初のアルバム。聞く前は実験的な側面の強そうな女性ロックシンガーなのだろうと思っていたけれど、最初にこのアルバムを聞いた時は意外とストレートなサウンドなんだなと感じた。歌い方も細く可愛らしいところから、骨太サウンドにマッチする力強いところまで幅広く魅せてくれる。個人的にはいかにもこれから始まりますというようなオープニングが好きだけれど、それでもこのアルバムはこの始まり方が最適というか「正しい街」「歌舞伎町の女王」「丸の内サディスティック」の流れを聞くとこれ以外はありえないとなってしまう。これはシンプルに好み云々とは別の方向から殴られて黙らされた感覚。

76. De Mysteriis Dom Sathanas

ノルウェーブラックメタルバンドMayhemが1994年5月にリリースした初のアルバム。ブラックメタルとはなんぞやというタイミングで、絶対的に高い評価を受けているこのアルバムを聴いた。リリースまでにメンバーが二人亡くなっているという前情報から曰く付きのとんでもない作品なんだなと感じていたが、初めて聴いた身にとっては中身もとんでもなかった。とはいえ拒否感拒絶感を抱かなかったのはサバスやヴェノムを先に聴いていたからで、その系譜にあるのだなと冷静に聞くことができた。今でもなにかむしゃくしゃした気持ちになったときに聞くとスッキリできる。ありがたい。

De Mysteriis Dom Sathanas

De Mysteriis Dom Sathanas

  • Mayhem
  • メタル
  • ¥1224

100 Greatest Ever Albums I've Heard (85~81)

その作品がいかに優れているか、またいかに好んでいるか。今回の選出において、それらは尺度足り得ない。 今現在の自分の中にある“音楽”を形成するために多大なインパクトを与えた―つまり爪痕を残し、記憶に刻み込まれ、そして新たな扉を開いた作品たちを100枚選びぬいた。

自分にとっての偉大な作品100選、アルバム編。

選出方法は至ってシンプルだ。まずは上述したコンセプトに適している作品を、主観で100枚以上選出した。次にプログラムを作成し1枚ずつ比較し、客観的にランク付けを行った。

紹介を始める前に、一点。 洋楽邦楽問わず思うままに選出したが、自分に与えた影響が大きいランキングというコンセプトの性質上、邦楽の作品が比較的ランキング上位に多くなってしまった。 その理由として両親が洋楽を聴く人間ではないというところも大きいが、なにより洋楽を聞き始めた理由はその時に聞いていた邦楽のルーツを辿っていった結果行き着いたからである。あらゆる音楽への門戸は日本の作品であったため、洋楽と比較したときにその影響度が大きくなってしまうことは避けられない。 このことを頭の片隅に置いておいてほしい (上位は邦楽ばっかりじゃねぇか、と思うかもしれないがご容赦)。

前の順位はこちら tosshie.hateblo.jp

85. Monoliths & Dimensions

アメリカのドゥーム・メタルバンドSunn O)))が2009年5月に発表した6作目。これは俺にとって間違いなく初めてのドローン・ミュージックであるし、そのときの衝撃度だけを見たらドゥーム・メタル自体に出会ったときより大きかったかもしれない。やはりドローンによって組み上げられたヘヴィメタルが存在するなどということは、想像できるはずもなかった。瞑想のお供にぴったり。特に2曲目「Big Church」の神聖で荘厳な雰囲気にはすっかりトリップしてしまう。このような尖った作品でもしっかり高い評価を受けており、一つのジャンルの金字塔として君臨しているところも素晴らしい。日本では無理だろうな。

84. The Hall of the Olden Dreams

スペインのシンフォニック・メタルバンドDark Moorが2000年12月にリリースした2作目。いわゆるクサメタルと呼ばれるジャンルとしては金字塔の一つに数えられる大名盤。女性ボーカルだが女性らしさを売りにしているような感じではなく、勇壮なサウンドを立てるような歌唱をしているところがかっこいい。とはいえ最初は女性ボーカルのメタルに少なからず抵抗感を抱いていたせいか、彼らの作品を手に取ったのは遅めだった。当然後悔した。こんな素晴らしい作品を生み出すバンドの曲をなぜ後回しにしていたのか、と。疾走曲が売りなわけではなく、冒頭からミドルテンポの名曲が並ぶ。しかしやはりそのクオリティに疾走を加えれば神のような楽曲になること必至。「Silver Lake」の爽やかなスピード感、そしてメロスピファン垂涎の至高の一曲「Beyond the Fire」。次作『Gates of Oblivion』も並んで名作と評されるが、衝撃という意味では最初に聴いたこちらに軍配が上がる。女性ボーカルメタルへの抵抗感を払拭してくれた作品だ。

The Hall of the Olden Dreams

The Hall of the Olden Dreams

  • Dark Moor
  • メタル
  • ¥1528

83. Tales from the Twilight World

ドイツのパワーメタルバンドBlind Guardianが1990年10月にリリースした3枚目のアルバム。HelloweenGamma Rayと並ぶパワーメタルの代表格ということで手を出したが、その評判に違わぬパワフルさに唸らされた。初っ端の「Traveler in Time」はミドルテンポか?と思わせておいて疾走しだして思わずガッツポーズ。そして中盤「Lost in the Twilight Hall」では感涙。Helloween/Gamma RayのKai Hansenがゲストヴォーカルとして参加しているというのも激アツで、楽曲自体彼らの最高傑作だと個人的に思っているしメロスピというジャンルに於いても指折り数える好きな曲のうちの一つだ。Kai Hansenといえばラストの「The Last Candle」にはギターで参加していて、こちらも彼らのキャリアで屈指の名曲の一つ。若干B級臭のするオープニング、キレッキレのギターフレーズ、Queenからも影響を受けているというのに納得のラストのかけあい。たまらん。

82. magic theatre

日本のヴィジュアル系ロックバンドLa'cryma Christiが2000年3月にリリースした3枚目のアルバム。最初はヴィジュアル系四天王の一角だということで聞いたのだが、大衆性のあるメロディアスな楽曲にかぎらずプログレ要素を大きく取り入れた雰囲気も非常に好みだった。何と言ってもこのアルバムは11分を超える長尺曲から始まるという攻めた姿勢。それでいてただ挑戦しただけではなく、しっかり名曲として仕上げるあたり技術の高さがうかがえる。「Blossom」のように大衆性に特化したものもありながら、「イスラエル」「Lime rain」「ファシズム」のようにマニアックさと大衆性をうまくバランスどった曲があるのもたまらない。

81. The Joshua Tree

アイルランドのロックバンドU2が1987年3月にリリースした5枚目のアルバム。海外のバンドで、メタルでもハードでもないロックのアルバムに触れた極最初期の作品。手にとって再生ボタンを押して最初の3曲、特に「With or Without You」で完全にノックアウト。なんて美しい曲なんだと感動するとともに、のちに調べてこのアルバムが彼らの最も売れたアルバムでありこの曲が最も売れたシングルなのだと知って大納得。歌詞と対訳を交互に見ながら聴いて、その社会的なメッセージの強さに、まだまだ学生だった自分は何を思うこともできなかったということだけ強く記憶に残っている。

The Joshua Tree

The Joshua Tree

  • U2
  • ロック
  • ¥1935

100 Greatest Ever Albums I've Heard (90~86)

その作品がいかに優れているか、またいかに好んでいるか。今回の選出において、それらは尺度足り得ない。 今現在の自分の中にある“音楽”を形成するために多大なインパクトを与えた―つまり爪痕を残し、記憶に刻み込まれ、そして新たな扉を開いた作品たちを100枚選びぬいた。

自分にとっての偉大な作品100選、アルバム編。

選出方法は至ってシンプルだ。まずは上述したコンセプトに適している作品を、主観で100枚以上選出した。次にプログラムを作成し1枚ずつ比較し、客観的にランク付けを行った。

紹介を始める前に、一点。 洋楽邦楽問わず思うままに選出したが、自分に与えた影響が大きいランキングというコンセプトの性質上、邦楽の作品が比較的ランキング上位に多くなってしまった。 その理由として両親が洋楽を聴く人間ではないというところも大きいが、なにより洋楽を聞き始めた理由はその時に聞いていた邦楽のルーツを辿っていった結果行き着いたからである。あらゆる音楽への門戸は日本の作品であったため、洋楽と比較したときにその影響度が大きくなってしまうことは避けられない。 このことを頭の片隅に置いておいてほしい (上位は邦楽ばっかりじゃねぇか、と思うかもしれないがご容赦)。

前の順位はこちら tosshie.hateblo.jp

90. Crescent

日本のロックアーティストGacktが2003年12月に発表した4作目。MALICE MIZERより先にGACKTのソロ作品を聴いたタイプの人間だが、そんな中でひときわ心に残ったのがこのアルバム。個人的にバラエティ豊かな作品よりも、コンセプトアルバムのように一本筋の通った作品が好みであるというところも大きいが、そういう意味で前作『MOON』と今作は印象が強かった。冒頭の「Dybbuk」~「mind forest」という最高の幕開けからぐっと惹き込まれ、そのままシリアスパートが続いてからのスピード感ある「white eyes」。自分にとってはここがハイライト。やっぱり日本のロックもかっこいいじゃんと再認識させてくれた大事な作品のひとつ。あと、散々他で言われまくってるだろうからあえて言及はしないが、ラストの「オレンジの太陽」も大事な曲。

続きを読む

100 Greatest Ever Albums I've Heard (95~91)

その作品がいかに優れているか、またいかに好んでいるか。今回の選出において、それらは尺度足り得ない。 今現在の自分の中にある“音楽”を形成するために多大なインパクトを与えた―つまり爪痕を残し、記憶に刻み込まれ、そして新たな扉を開いた作品たちを100枚選びぬいた。

自分にとっての偉大な作品100選、アルバム編。

選出方法は至ってシンプルだ。まずは上述したコンセプトに適している作品を、主観で100枚以上選出した。次にプログラムを作成し1枚ずつ比較し、客観的にランク付けを行った。

紹介を始める前に、一点。 洋楽邦楽問わず思うままに選出したが、自分に与えた影響が大きいランキングというコンセプトの性質上、邦楽の作品が比較的ランキング上位に多くなってしまった。 その理由として両親が洋楽を聴く人間ではないというところも大きいが、なにより洋楽を聞き始めた理由はその時に聞いていた邦楽のルーツを辿っていった結果行き着いたからである。あらゆる音楽への門戸は日本の作品であったため、洋楽と比較したときにその影響度が大きくなってしまうことは避けられない。 このことを頭の片隅に置いておいてほしい (上位は邦楽ばっかりじゃねぇか、と思うかもしれないがご容赦)。

前の順位はこちら tosshie.hateblo.jp

95. Holy Wood (In the Shadow of the Valley of Death)

アメリカのロックバンドMarilyn Mansonが2000年11月にリリースした4作目。『Antichrist Superstar』と『Mechanical Animals』とこの3枚を同時に買って、どれから聴こうかと悩んだ。発表順に聴くか、それともストーリーの時系列順に聴くか。結局後者を選択したため、このアルバムが自分にとっての初マンソンになった。過激な雰囲気の曲もありつつ、それでいて妙にポップでキャッチーな要素も兼ね備えていて中毒性がある。メロデスとはまた違った意味での慟哭が感じられる曲が多いが、「The Nobodies」のようなバラードまであって飽きさせない。アイコニックなロックスターとしての存在感を見せつけられて、なぜ自分がいわゆるJ-ROCKにハマれないのかの答え合わせをしたような気分になった。上に挙げた2作を融合・美味しいとこ取りしたような音楽性なので、曲数が多くて聴くのが大変かもしれないし、途中ダレる部分がないとも言い切れないけれど、入り口としては最適。

続きを読む