100 Greatest Ever Albums I've Heard (65~61)

その作品がいかに優れているか、またいかに好んでいるか。今回の選出において、それらは尺度足り得ない。 今現在の自分の中にある“音楽”を形成するために多大なインパクトを与えた―つまり爪痕を残し、記憶に刻み込まれ、そして新たな扉を開いた作品たちを100枚選びぬいた。

自分にとっての偉大な作品100選、アルバム編。

選出方法は至ってシンプルだ。まずは上述したコンセプトに適している作品を、主観で100枚以上選出した。次にプログラムを作成し1枚ずつ比較し、客観的にランク付けを行った。

紹介を始める前に、一点。 洋楽邦楽問わず思うままに選出したが、自分に与えた影響が大きいランキングというコンセプトの性質上、邦楽の作品が比較的ランキング上位に多くなってしまった。 その理由として両親が洋楽を聴く人間ではないというところも大きいが、なにより洋楽を聞き始めた理由はその時に聞いていた邦楽のルーツを辿っていった結果行き着いたからである。あらゆる音楽への門戸は日本の作品であったため、洋楽と比較したときにその影響度が大きくなってしまうことは避けられない。 このことを頭の片隅に置いておいてほしい (上位は邦楽ばっかりじゃねぇか、と思うかもしれないがご容赦)。

前の順位はこちら tosshie.hateblo.jp

65. Beyond the Space, Beyond the Time

ポーランドのシンフォニック・パワーメタルバンドPathfinderが2010年4月にリリースした初のアルバム。とんでもないという前評判のまま高い期待を抱いて聴いたところ、期待通りの凄まじいアルバムで驚愕したのを今でも覚えている。確かにサウンドはRhapsodyとかBlind Guardianとか、あとは速いのでDragonForceとかSonata Arcticaを思わせるしとにかくおいしいところがいっぱい。特にベートーヴェンの月光のフレーズから始まる「Pathway to the Moon」からフックのあるコーラス部分が印象的な「All the Mornings of the World」の流れは白眉。やはりこの手のジャンルはやりすぎなくらいがちょうどいい。お腹いっぱい。

Beyond the Space, Beyond the Time

Beyond the Space, Beyond the Time

  • Pathfinder
  • ロック
  • ¥1833

64. "9"

日本のヴィジュアル系ロックバンドアリス九號.が2012年2月にリリースした5枚目のアルバム。外部のプロデューサーを招き新しい扉を開いた前作『GEMINI』の流れを汲み、彼ららしい王道ポップ・ロックとより洗練されたハードなサウンドがみるみる繰り広げられる。宗教的な雰囲気すら感じる大仰で開放的なオープニング「Heavenly Tale」から、初めてのメロスピへの挑戦となる「the Arc」、そしてよりヘヴィネスを強めた「GALLOWS」へと続く流れを聞いて、自分たちのバンド名にもある「9」の数字を冠した自信を伺いしれた。壮大さとノリのよさを兼ね備えた大団円「すべてへ」までギュッと凝縮したAlice Nineワールドに浸れる。

"9" (通常盤)

  • Alice Nine
  • J-Pop
  • ¥2139

63. Father's Son

日本のシンガーソングライター浜田省吾が1988年3月にリリースした11作目。社会的なメッセージの強い重い曲があるという印象が先行するが意外とラブソングが多いのも魅力ポイント。「BLOOD LINE」の最初の音を聞いたときから、そのキレッキレのエレキサウンドに骨の髄まで痺れた。個人的には「MONEY」以上。『DOWN BY THE MAINSTREET』『J.BOY』を経て等身大の大人な歌詞が増えているのも、この年になって聴くことによりより一層身近に感じられるようになってきた。30代なかば、円熟とまではいかないものの色々なものに揉まれた大人の色気と渋みが感じられる。

62. Asia

イギリスのロックバンドAsiaが1982年3月にリリースしたデビューアルバム。デビューとはいえ既に別のバンドで一時代を築いたスーパーメンバーが集結しているので、安定感と貫禄を感じられる。先に本家のバンドの作品を聴いていたので、このアルバムを聴いたときの衝撃はかなり大きかった。もちろん事前に話には聞いていたが、ここまでプログレの色を抑え込んでいるとは。そしてポップに振り切れてもこれほどキャッチーな作品を生み出せるとは。目を閉じて美しいコーラスワークとハイテクニックな演奏に浸ると、幻想的な世界にトリップできる。

Asia

Asia

  • エイジア
  • ロック
  • ¥1731

61. BELOVED

日本のロックバンドGLAYが1996年11月にリリースした4作目。古いアルバムから順番に聴き進めて、もちろんどれもいいアルバムではあるのだけれどこのアルバムを聴いたときに開放的な印象を鮮明に受けたことを覚えている。『BEAT out!』を聴いたときの衝撃も相当だったが、よりドラマティックで心が震わされたのはこちら。「春を愛する人」~「カーテンコール」の流れはハイライト。終盤に位置するこの部分は美しく切なさのあるパートだが、それでもこのアルバムの全体的な印象が明るいのはなんといってもトリを飾る「RHAPSODY」が明るくノリがよいからだろう。何年経って何度聞き返しても色褪せないってこのことなんだろうな。

Beloved

Beloved