100 Greatest Ever Albums I've Heard (95~91)

その作品がいかに優れているか、またいかに好んでいるか。今回の選出において、それらは尺度足り得ない。 今現在の自分の中にある“音楽”を形成するために多大なインパクトを与えた―つまり爪痕を残し、記憶に刻み込まれ、そして新たな扉を開いた作品たちを100枚選びぬいた。

自分にとっての偉大な作品100選、アルバム編。

選出方法は至ってシンプルだ。まずは上述したコンセプトに適している作品を、主観で100枚以上選出した。次にプログラムを作成し1枚ずつ比較し、客観的にランク付けを行った。

紹介を始める前に、一点。 洋楽邦楽問わず思うままに選出したが、自分に与えた影響が大きいランキングというコンセプトの性質上、邦楽の作品が比較的ランキング上位に多くなってしまった。 その理由として両親が洋楽を聴く人間ではないというところも大きいが、なにより洋楽を聞き始めた理由はその時に聞いていた邦楽のルーツを辿っていった結果行き着いたからである。あらゆる音楽への門戸は日本の作品であったため、洋楽と比較したときにその影響度が大きくなってしまうことは避けられない。 このことを頭の片隅に置いておいてほしい (上位は邦楽ばっかりじゃねぇか、と思うかもしれないがご容赦)。

前の順位はこちら tosshie.hateblo.jp

95. Holy Wood (In the Shadow of the Valley of Death)

アメリカのロックバンドMarilyn Mansonが2000年11月にリリースした4作目。『Antichrist Superstar』と『Mechanical Animals』とこの3枚を同時に買って、どれから聴こうかと悩んだ。発表順に聴くか、それともストーリーの時系列順に聴くか。結局後者を選択したため、このアルバムが自分にとっての初マンソンになった。過激な雰囲気の曲もありつつ、それでいて妙にポップでキャッチーな要素も兼ね備えていて中毒性がある。メロデスとはまた違った意味での慟哭が感じられる曲が多いが、「The Nobodies」のようなバラードまであって飽きさせない。アイコニックなロックスターとしての存在感を見せつけられて、なぜ自分がいわゆるJ-ROCKにハマれないのかの答え合わせをしたような気分になった。上に挙げた2作を融合・美味しいとこ取りしたような音楽性なので、曲数が多くて聴くのが大変かもしれないし、途中ダレる部分がないとも言い切れないけれど、入り口としては最適。

94. 朽木の灯

日本のヴィジュアル系バンドMUCCが2004年9月に発表した4作目。ムックは初期のアルバムから順に聴いて、『痛絶』から『是空』までどれも素晴らしい作品で驚いたが、そのあとにこのアルバムを聴いてそれらを上回る完成度に呆然としたのを覚えている。和製KOЯNと評されることもある絶望感漂う陰鬱で暗い雰囲気に包まれつつも、歌謡曲に通じる国産らしいメロディアスさもしっかり感じ取れる。もちろん絶望感とメロディを兼ね備えたサウンドは海外のバンドでもよく聞けるが、パワー・メタル系とは違う歌謡曲らしいメロディでそれを実現していることに驚きを受けた。とはいえ暗い曲ばかりではなく、終盤の「名も無き夢」と「モノクロの景色」は救い (でもその後に一番ヘヴィな「朽木の灯」が来るのだが)。もしこのアルバムを気に入ったのであれば、『朽木の灯 ライヴ アット 六本木』も併せて聴きたい。

朽木の灯

朽木の灯

93. Nightfall

スウェーデンドゥーム・メタルバンドCandlemassが1987年9月にリリースした2枚目のアルバム。デビュー作である『Epicus Doomicus Metallicus』でエピック・ドゥームというサブジャンルを確立したレジェンドの、最高傑作と言われることが多いアルバムだ。このアルバムがドゥーム・メタルの入り口であったし、同時に越えられない壁を築き上げた。ストリングス等を取り入れているわけでもないのに神々しい宗教的な崇高さを感じさせ、またドゥームとはいえヘヴィながらも陰鬱すぎないバランスのとりかたが絶妙。これが最初だったからこそ、なんの抵抗感もなくドゥーム・メタルの世界に足を踏み入れられたのだと確信している。速いだけがメタルじゃないというのはサバスなどを聴いていれば実感できることだが、単にそれを受け入れただけではなく“好き”まで昇華させたのはこのアルバムに出会ったおかげだ。

Nightfall

Nightfall

  • Candlemass
  • メタル
  • ¥1222

92. The Myths and Legends of King Arthur and the Knights of the Round Table

イギリスのキーボーディストRick Wakemanが1975年3月に発表した3作目。イエスの作品を一通り耳にして、もともと鍵盤好きだった自分にとってはやはり彼の演奏に魅力を感じた。そして最初にソロキャリアの代表作3作に手を出して、一番このアルバムに心を奪われた。前作『Journey to the Centre of the Earth』に続いてオーケストラを取り入れた作品で、冒頭の「Arthur」からテーマに即した勇壮さを味わうことができて胸が躍る。そしてただただ演奏の手数の多さに圧倒されるばかり。とはいえキーボード一辺倒というわけではなく、バンドサウンドのおいしいところを感じ取ることが出来るパートもある。クラシックの要素を取り入れたというレベルではなく、融合した作品と呼んで差し支えないレベルだと思うが、そういった作品を聴いたのは思い返せばこれが初めてかもしれない。

91. Learning to Rock

フィンランドヘヴィメタルバンドSturm Und Drangが2007年5月にリリースしたデビューアルバム。発売当時メンバーがみな15,6歳という若さが話題先行していて、自分も見事にそれに釣られたわけだ。耳の肥えた人がわんさかいるメタル大国である本国でもチャート3位入り、プラチナムレコード認定されたらしく、若いからという理由だけではなくその実力もある程度は認められていたのだろうと推測する。非常にあざといアルバムタイトルだが、内容は全然Learningな感じではない本格HR/HMだ。個人的な感覚としてはハードロックとメタルの線引きの際どいあたりで、そこに00年代以降の北欧メタルのスピード感が加わったような印象。パワーメタルにも通じるメロディアスさにマイルドなヴォーカルもマッチしている。一番良く聴いていた頃にはラストのロックバラード「Miseria」を鬼リピしていた。今聴いても名曲だなと思える。

Learning to Rock

Learning to Rock

  • Sturm und Drang
  • ロック
  • ¥1833