100 Greatest Ever Albums I've Heard (100~96)

その作品がいかに優れているか、またいかに好んでいるか。今回の選出において、それらは尺度足り得ない。 今現在の自分の中にある“音楽”を形成するために多大なインパクトを与えた―つまり爪痕を残し、記憶に刻み込まれ、そして新たな扉を開いた作品たちを100枚選びぬいた。

自分にとっての偉大な作品100選、アルバム編。

選出方法は至ってシンプルだ。まずは上述したコンセプトに適している作品を、主観で100枚以上選出した。次にプログラムを作成し1枚ずつ比較し、客観的にランク付けを行った。

紹介を始める前に、一点。 洋楽邦楽問わず思うままに選出したが、自分に与えた影響が大きいランキングというコンセプトの性質上、邦楽の作品が比較的ランキング上位に多くなってしまった。 その理由として両親が洋楽を聴く人間ではないというところも大きいが、なにより洋楽を聞き始めた理由はその時に聞いていた邦楽のルーツを辿っていった結果行き着いたからである。あらゆる音楽への門戸は日本の作品であったため、洋楽と比較したときにその影響度が大きくなってしまうことは避けられない。 このことを頭の片隅に置いておいてほしい (上位は邦楽ばっかりじゃねぇか、と思うかもしれないがご容赦)。

100. Scum

イギリスのグラインドコアバンドNapalm Deathが1987年7月に発表したデビューアルバム。グラインドコアハードコア・パンクヘヴィ・メタル(特にスラッシュ・メタルデスメタル)が融合した音楽ジャンルであり、この世で最も速く激しいジャンルの1つといわれるものだ。そんな過激な世界に初めて足を踏み入れた瞬間、耳から入って全身を震わせる凄まじい衝撃を体感した。音の激しさは言わずもがなだが、やはりなによりも作品のコンパクトさに衝撃を受けた。2分未満の曲が半数以上を占め、28曲収録されているにも関わらず収録時間は30分ほど。短いアルバムは他にも数多くあれど、このアルバムは曲自体が短いため何が起こっているのか理解する前に終了する。 世界で一番短い曲としてギネス認定されている「You Suffer」が収録されていることでも有名。

99. American Idiot

アメリカのパンクバンドGreen Dayが2004年9月に発表した7枚目のアルバム。ただのパンクではなく、なんといっても9分台の組曲が2曲も収録されたパンクオペラ。それまで正直パンクに対してあまり好ましい印象は持っておらず(※嫌っていたわけでもない)、あくまで知識として著名な作品を聴いて学んでいたに過ぎなかったが、このアルバムを聴いて以降はパンクに対する見方考え方が大きく転換した。反戦をテーマに据えており、まさかパンクアルバムでこのような硬派な一面が見られるとは思っていなかったからだ。このアルバムには当時のイラク戦争に対する怒りを収めているが、2022年現在、国こそ違えど争いが起こっている今だからこそ聴きたいアルバムでもある。 最も権威ある音楽賞といわれるグラミー賞において、2005年に最優秀ロックアルバム賞を受賞し、更に2006年には「Boulevard of Broken Dreams」が最優秀レコード賞 (ロックなどのジャンル/カテゴリーに制限されない最も優秀なシングル作品) を獲得したことからも、この作品が高い評価を得ていることが分かる。

98. Contaminazione

イタリアのプログレバンドIl Rovescio Della Medagliaが1973年に発表した3枚目のアルバム。邦題「汚染された世界」。本場イギリスの著名なプログレバンドを一通り聴き終え、その他の国のバンドに手を出し始めたタイミングで、このクラシカルな美しさとヘヴィなロックサウンドが融合した作品と巡り合った。The Enidのアルバムを聴いたときと同じくらいの衝撃を受けた。なんだ、イギリス以外にもこんなバンドがいるんじゃないか!と。もともとはハードロックバンドだったということにも頷ける重さと勢い、ストリングスやオルガンが奏でる崇高さと壮大さ。クラシックの有名なフレーズを多く取り入れているが、最高のフィナーレである「La Grande Fuga」が個人的には最も胸が高まる。

Contaminazione 2.0 (Live)

Contaminazione 2.0 (Live)

  • Rovescio Della Medaglia
  • ハードロック
  • ¥1528

97. Attera Totus Sanctus

スウェーデンブラックメタルバンドDark Funeralが2005年10月に発表した4作目。いかにもなタイトル(直訳すると「聖なるものをことごとくぶっ壊せ」、邦題は「復讐の賛歌」)といかにもなジャケット。これはブラックメタルを聴き漁り始めた頃に手にとった1枚で、聴き始めたばかりでどの曲も同じような感じだな、と思っていた第一印象を打ち砕いたのがこのアルバムだ。暴虐でありながら緻密な音ゆえ、言葉選びが正しいかどうかはさておき繊細な印象さえ受ける。高速で攻撃的で歌詞も邪悪、まさにブラックメタルの王道イメージを濃縮したような作品で、虜になるのは一瞬だった。ジャンルを代表する名曲と言われる「King Antichrist」や、それに過激さで劣らない「Godhate」、激しいながらも哀愁を感じさせる「Atrum Regina」など名曲目白押し。

Attera Totus Sanctus

Attera Totus Sanctus

  • Dark Funeral
  • メタル
  • ¥1833

96. Winter in Paradise

スウェーデンのハードロックバンドLast Autumn's Dreamが2005年12月にリリースした3枚目のアルバム。まさに北欧ハードロックというべきサウンドで、これがいわゆるメロディアス・ハードと言われるものだ。クサすぎるあまりダサいと言われることも多いジャンルだが、日本人の琴線に触れる哀愁漂う美しい旋律はこころの涙を誘う。イギリスやアメリカの王道ハードロックは一通り履修を終え、一旦ハードロックの開拓が下火になっていた頃に唐突に出会った。メロディアスなメタルにどっぷりだった当時、ふと読んでいたディスクガイドでの紹介文に惹かれて買って聴いたのが、この最高にダサくて最高にアツい世界への入り口だった。産業ロック、プログレッシヴ・ハードと呼ばれる音楽に通じるものを感じつつ、それらを余裕で上回るキャッチーさ。ド頭の「Love to Go」、この曲にすべてを持っていかれたのだ。

Winter In Paradise

Winter In Paradise

  • Last Autumn's Dream
  • ロック
  • ¥1528


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